タスキを受けて、走る

 ── 大分大会運営委員長 中津留章仁

 いよいよ劇作家大会2019大分大会の企画が揃いました。前回の豊岡大会からは約4年半ぶりとなります。わたしの地元である大分で劇作家大会が開催できること、そしてまた、不慣れな運営委員長のわたしを盛り立ててくださり、これまで準備に関わってくださった全てのご関係者の皆さまに、この場をお借りしまして、厚く御礼申し上げます。

 まず、大分大会に至る経緯をご説明しましょう。話は2015年の10月に遡ります。J:COM ホルトホール大分の是永幹夫統括から依頼を受け、戯曲ワークショップを行った日の夜の出来事でした。是永さんから演劇に関する大きな事業をやりたいというお話を伺い、わたしがつい、劇作家大会の話をしたことが全てのはじまりでした。それからすぐに佐藤樹一郎市長のもとへお話にいき、僅か一年ほどで、是永さんは錚々たる顔ぶれが揃う実行委員会を設立することになるのです。
 この、70を過ぎた男性の行動に、わたしは、自分が果たしてこれほどまで作品創作に対して純粋に情熱をかたけむけてきただろうか、と改めて自問自答させられ、同時に沢山の勇気を貰いました。いつしか、是永さんと心中するつもりでこの大会を成功させよう、と心に決めている自分がいました。

 さて、劇作家大会とは何でしょう?こういった質問をよく受けます。最も端的にえば、50以上の企画を四日間で一挙に催す「市民参加型」の演劇の祭典だということです。
 近年、地域から演劇を創作して発信する意義と重要性が見なおされつつあります。例えば、地域の公共劇場が東京から演出家や俳優を呼んで作品を創ることありますが、この場合、地域の人々は「観る側」になります。しかしながら、演劇にはプロアマ問わず表現する楽しさが存在します。劇作家大会の「市民参加型」というのは、「観る側」と「表現する側」の両方を指しているとお考えいただけると幸いです。これまで演劇とは無縁だった皆さまも、この機会に、観る側だけでなく、表現する楽しさも是非体感していただきたいと思います。

 こういった取り組みが、市民の皆さまの意識を少しづつ変えてゆき、やがては市民の皆さまの手による地域に根ざした創作作品が生まれ、それを全世界に向けて発信する、そういう街へと発展するのだと思います。この大会は、大分が演劇の街へと歩む、第一歩だと思っています。 この大会をきっかけに、大分が演劇という文化を発信できる街へと発展することを、わたしは願っております。